第19回ショパン国際ピアノコンクール第3次予選2日目となった10月15日、朝のワルシャワ・フィルハーモニーには、再びショパンの音楽が息づいた。前日とは異なり、この日は東アジア勢とポーランド勢が中心。繊細な抒情、若い感性、そして構築的な知性が交錯する一日となった。
ホールで全て鑑賞予定です。
思い出として、鑑賞して感じたことを書きたいと思います。
三次予選〈2日目〉レポート|成熟と若さが交錯したワルシャワの午後
文・ショパン音楽教室編集部(2025年10月15日/ワルシャワ・フィルハーモニー)
■ 10月15日(水) 朝の部
🕔 リ・シャオシュエン(23)中国🇨🇳
🎹 使用ピアノ:Steinway
● Xiaoxuan Li プロフィール
- 生年月日:2001年12月21日生まれ
- 師事歴:Robert McDonald(現在)、Dmitry Alexeev、Dang Thai Son(2019–2022)
- 所属:The Juilliard School(アメリカ)
- 受賞歴:クリーブランド国際青少年ピアノコンクール(金賞およびベートーヴェン賞)、モーツァルト珠海コンクール(第1位)、ヒルトンヘッド国際ピアノコンクール(第2位)
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:なし(不明)
- その他:中国、日本、イタリア、ドイツ、ポーランド、アメリカなどで演奏し、フィラデルフィアのキンメルセンター、ニューヨークのカーネギーホール・ザンケルホール、ワルシャワ・フィルハーモニーなどに出演。クリーブランド交響楽団、ヒルトンヘッド交響楽団、ザルツブルク・チェンバー・ソリスツなどと共演。
● Xiaoxuan Li 1次予選 プログラム
- 夜想曲 ハ短調 Op.48-1
- バラード第2番 ヘ長調 Op.38
- ワルツ第1番 変イ長調 Op.34-1
- 練習曲 イ短調 Op.25-11「木枯らし」
● Xiaoxuan Li 2次予選 プログラム
- 前奏曲第1番 ハ長調 Op.28-1
- 前奏曲第2番 イ短調 Op.28-2
- 前奏曲第3番 ト長調 Op.28-3
- 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
- 前奏曲第5番 ニ長調 Op.28-5
- 前奏曲第6番 ロ短調 Op.28-6
- 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
- 前奏曲第8番 嬰ヘ短調 Op.28-8
- 前奏曲第9番 ホ長調 Op.28-9
- 前奏曲第10番 嬰ハ短調 Op.28-10
- 前奏曲第11番 ロ長調 Op.28-11
- 前奏曲第12番 嬰ト短調 Op.28-12
- スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
- 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
- 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
● Xiaoxuan Li 3次予選 プログラム
- マズルカ第1番 嬰ト短調 Op.33-1
- マズルカ第2番 ハ長調 Op.33-2
- マズルカ第3番 ニ長調 Op.33-3
- マズルカ第4番 ロ短調 Op.33-4
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
● Xiaoxuan Li ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21
🇨🇳 Xiaoxuan Li演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★
午前10時、静けさの中で始まったリーのリサイタルは、《マズルカ Op.33》から。彼の音は、まるで薄明の霧の中で響くクヤヴィアクの調べのように自然で、穏やかに呼吸していた。ポーランドの評論家クラウディア・バラノフスカも「リリシズムと色彩の豊かさ」と評したように、フレーズの端々に音楽的な詩情が漂う。続く《ソナタ変ロ短調 Op.35》では若干の緊張が感じられたものの、全体としては構成感が明快で、誠実な演奏態度が印象的だった。
🕔 リュ・ティエンヤオ(16)中国🇨🇳
🎹 使用ピアノ:Fazioli
● Tianyao Lyu プロフィール
- 生年月日:2008年10月21日生まれ
- 師事歴:Katarzyna Popowa-Zydroń(現在/今大会の審査員)、Hua Chang(過去)
- 所属:Akademia Muzyczna im. Ignacego Jana Paderewskiego w Poznaniu(ポーランド)、Central Conservatory of Music附属中学校(中国)
- 受賞歴:第19回エトリンゲン国際ピアノコンクール(2024)第1位、第31回ショパン国際ピアノコンクール・シャファルニア(ポーランド)第1位
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:なし(不明)
- その他:ザルツブルク・チェンバー・ソリスツ、寧波交響楽団と共演。カーネギーホール、北京国家大劇院などアジア、ヨーロッパ、アメリカの主要ホールで演奏。
● Tianyao Lyu 1次予選 プログラム
- 夜想曲 ロ長調 Op.62-1
- 練習曲 嬰ト短調 Op.25-6
- ワルツ 変ホ長調 Op.18
- 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
● Tianyao Lyu 2次予選 プログラム
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
- ロンド 変ホ長調 Op.16
- 前奏曲第19番 変ホ長調 Op.28-19
- 前奏曲第20番 ハ短調 Op.28-20
- 前奏曲第21番 変ロ長調 Op.28-21
- 前奏曲第22番 ト短調 Op.28-22
- 前奏曲第23番 ヘ長調 Op.28-23
- 前奏曲第24番 ニ短調 Op.28-24
- モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2
● Tianyao Lyu 3次予選 プログラム
- マズルカ第1番 イ短調 Op.59-1
- マズルカ第2番 変イ長調 Op.59-2
- マズルカ第3番 嬰ヘ短調 Op.59-3
- 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15「雨だれ」
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- 子守歌 変ニ長調 Op.57
● Tianyao Lyu ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
🇨🇳 Tianyao Lyu演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★★
まだ16歳の彼女が弾く《マズルカ Op.59》には、すでに確固たる音楽的個性が息づいていた。音色は明るく柔らかく、作品全体を見通すような構成感が見事。《プレリュード 変ニ長調 Op.28-15》では響きのコントラストを美しく描き、《ソナタ第2番 Op.35》では葬送行進曲を静謐に奏で、深い内面の輝きを聴かせた。終曲の《子守歌 Op.57》では、優しい音色と安定した呼吸で会場を包み込む。リュウの演奏は、若さと成熟の境界線を優雅に越えるものだった。
10月15日(水) 夜の部
🕔 ヴィンセント・オン(24)マレーシア🇲🇾
🎹 使用ピアノ:Shigeru Kawai
● Vincent Ong プロフィール
- 生年月日:2001年4月12日生まれ
- 師事歴:Ng Chong Lim、Eldar Nebolsin(現在)、Elisabeth Leonskaja、Natalia Trull、Boris Berman
- 所属:Hochschule für Musik Hanns Eisler Berlin(ドイツ)
- 受賞歴:台北マエストロ国際ピアノフェスティバル(2019)第1位、シンガポール国際ピアノコンクール(2020)第6位、ロベルト・シューマン国際コンクール(2024)第1位
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:Elisabeth Leonskaja、Natalia Trull、Boris Berman
- その他:Susanne Scholten財団モーリス・ラヴェル・ピアノ賞、Clavarte財団(スイス)奨学金、Lucia-Loeser奨学金受賞。
● Vincent Ong 1次予選 プログラム
- 夜想曲 ホ長調 Op.62-2
- 練習曲 イ短調 Op.10-2
- 幻想曲 ヘ短調 Op.49
- ワルツ 変イ長調 Op.42
● Vincent Ong 2次予選 プログラム
- 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
- 前奏曲第1番 ハ長調 Op.28-1
- 前奏曲第2番 イ短調 Op.28-2
- 前奏曲第3番 ト長調 Op.28-3
- 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
- 前奏曲第5番 ニ長調 Op.28-5
- 前奏曲第6番 ロ短調 Op.28-6
- 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
- 前奏曲第8番 嬰ヘ短調 Op.28-8
- 前奏曲第9番 ホ長調 Op.28-9
- 前奏曲第10番 嬰ハ短調 Op.28-10
- 前奏曲第11番 ロ長調 Op.28-11
- 前奏曲第12番 嬰ト短調 Op.28-12
- 前奏曲第13番 嬰ヘ長調 Op.28-13
- 前奏曲第14番 変ホ短調 Op.28-14
- 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15
- 前奏曲第16番 変ロ短調 Op.28-16
- 前奏曲第17番 変イ長調 Op.28-17
- 前奏曲第18番 ヘ短調 Op.28-18
- 前奏曲第19番 変ホ長調 Op.28-19
- 前奏曲第20番 ハ短調 Op.28-20
- 前奏曲第21番 変ロ長調 Op.28-21
- 前奏曲第22番 ト短調 Op.28-22
- 前奏曲第23番 ヘ長調 Op.28-23
- 前奏曲第24番 ニ短調 Op.28-24
● Vincent Ong 3次予選 プログラム
- モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2
- マズルカ第1番 ホ短調 Op.41-1
- マズルカ第2番 ロ長調 Op.41-2
- マズルカ第3番 変イ長調 Op.41-3
- マズルカ第4番 嬰ハ短調 Op.41-4
- ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Vincent Ong ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
🇲🇾 Vincent Ong演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★★
夕方のセッションでは、マレーシアの若き巨匠 ヴィンセント・オンが登場。《マズルカ Op.41》では、リズム感と構築性のバランスに優れたアプローチを見せた。音楽誌では「感情の彫刻家」と称されるように、各フレーズの内側に潜む旋律線を丁寧に浮かび上がらせるセンスが際立つ。《ソナタ ロ短調 Op.58》では、テンポの推進力としなやかなフレージングで高い完成度を示した。
🕔 ピオトル・パヴワク(27)ポーランド🇵🇱
🎹 使用ピアノ:Shigeru Kawai
● Piotr Pawlak プロフィール
- 生年月日:1998年2月20日生まれ
- 師事歴:
- 所属:Akademia Muzyczna im. Stanisława Moniuszki w Gdańsku(ポーランド)、International Piano Academy Lake Como(イタリア)
- 受賞歴:第5回マイ・リンド国際ピアノコンクール(ヘルシンキ)優勝、第11回ダルムシュタット国際ショパンピアノコンクール優勝、ショパンコンクール(北京 2016/ブダペスト 2018/クラクフ 2019)入賞、パデレフスキ国際ピアノコンクール(ブィドゴシュチュ 2022)入賞、ワルシャワ・ショパン国際古楽器コンクール(2023)入賞
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
- その他:アメリカ、カナダ、日本、中国、ロシア、ジョージア、ヨーロッパ各国で演奏。ソリストとして多数のオーケストラと共演し、バート・キッシンゲン音楽祭「Kissinger Sommer」や「ショパンと彼のヨーロッパ」などに出演。
● Piotr Pawlak 1次予選 プログラム
- 夜想曲 ホ長調 Op.62-2
- 練習曲 イ短調 Op.10-2
- 幻想曲 ヘ短調 Op.49
- ワルツ 変イ長調 Op.42
● Piotr Pawlak 2次予選 プログラム
- 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
- 前奏曲第1番 ハ長調 Op.28-1
- 前奏曲第2番 イ短調 Op.28-2
- 前奏曲第3番 ト長調 Op.28-3
- 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
- 前奏曲第5番 ニ長調 Op.28-5
- 前奏曲第6番 ロ短調 Op.28-6
- 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
- 前奏曲第8番 嬰ヘ短調 Op.28-8
- 前奏曲第9番 ホ長調 Op.28-9
- 前奏曲第10番 嬰ハ短調 Op.28-10
- 前奏曲第11番 ロ長調 Op.28-11
- 前奏曲第12番 嬰ト短調 Op.28-12
- 前奏曲第13番 嬰ヘ長調 Op.28-13
- 前奏曲第14番 変ホ短調 Op.28-14
- 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15
- 前奏曲第16番 変ロ短調 Op.28-16
- 前奏曲第17番 変イ長調 Op.28-17
- 前奏曲第18番 ヘ短調 Op.28-18
- 前奏曲第19番 変ホ長調 Op.28-19
- 前奏曲第20番 ハ短調 Op.28-20
- 前奏曲第21番 変ロ長調 Op.28-21
- 前奏曲第22番 ト短調 Op.28-22
- 前奏曲第23番 ヘ長調 Op.28-23
- 前奏曲第24番 ニ短調 Op.28-24
● Piotr Pawlak 3次予選 プログラム
- クラコヴィアク風ロンド ヘ長調 Op.14
- マズルカ第1番 変ロ長調 Op.17-1
- マズルカ第2番 ホ短調 Op.17-2
- マズルカ第3番 変イ長調 Op.17-3
- マズルカ第4番 イ短調 Op.17-4
- ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Piotr Pawlak ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
🇵🇱 Piotr Pawlak 演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★★
続いて登場したのはポーランドの俊英、ピオトル・パヴラク。《ロンド・ア・ラ・クラコヴィアク》では、明快なテンポ感とエネルギー溢れる表現で会場を沸かせた。《マズルカ Op.17》では、民俗舞曲としてのリズム感を見事に捉え、各曲の性格を的確に描き分けた。特に第4曲イ短調では詩的な深みを湛えた音色が印象的。《ソナタ ロ短調 Op.58》では情熱のあまり終盤でいくつかのミスもあったが、その集中力と説得力は確かにこの日を代表する演奏のひとつだった。
🕔 イェフダ・プロコポヴィチ(19)ポーランド🇵🇱
🎹 使用ピアノ:Steinway
● Yehuda Prokopowicz プロフィール
- 生年月日:2005年11月16日生まれ
- 師事歴:Krzysztof Książek(現在)、Lidia Grychtołówna、Philippe Giusiano、Aleksandr Kobrin、Eldar Nebolsin、Katarzyna Popowa-Zydroń(今大会の審査員)、Zbigniew Raubo
- 所属:Akademia Muzyczna im. Krzysztofa Pendereckiego w Krakowie(ポーランド)
- 受賞歴:イグナツィ・ヤン・パデレフスキ国際ピアノコンクール(ピョトルクフ・トリブナルスキ)グランプリ、ビドゴシュチュ「アルトゥール・ルービンシュタイン・イン・メモリアム」コンクール第5位およびショパン賞、シャファルニア第28回ショパン国際青少年ピアノコンクール第3位および特別賞受賞、ポーランドおよび海外で30以上のコンクール入賞、2024年ヤング・ポーランド奨学金受賞。
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:Lidia Grychtołówna、Philippe Giusiano、Aleksandr Kobrin、Eldar Nebolsin、Katarzyna Popowa-Zydroń、Zbigniew Raubo
- その他:2022年および2024年にウッチのアルトゥール・ルービンシュタイン音楽祭に出演。
● Yehuda Prokopowicz 1次予選 プログラム
- 夜想曲 嬰ヘ短調 Op.48-2
- 練習曲 イ短調 Op.25-11「木枯らし」
- ワルツ第1番 変イ長調 Op.34-1
- 幻想曲 ヘ短調 Op.49
● Yehuda Prokopowicz 2次予選 プログラム
- バラード第2番 ヘ長調 Op.38
- マズルカ第1番 変ロ長調 Op.17-1
- マズルカ第2番 ホ短調 Op.17-2
- マズルカ第3番 変イ長調 Op.17-3
- マズルカ第4番 イ短調 Op.17-4
- マズル風ロンド ヘ長調 Op.5
- 前奏曲第19番 変ホ長調 Op.28-19
- 前奏曲第20番 ハ短調 Op.28-20
- 前奏曲第21番 変ロ長調 Op.28-21
- 前奏曲第22番 ト短調 Op.28-22
- 前奏曲第23番 ヘ長調 Op.28-23
- 前奏曲第24番 ニ短調 Op.28-24
- 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
● Yehuda Prokopowicz 3次予選 プログラム
- マズルカ第1番 嬰ト短調 Op.33-1
- マズルカ第2番 ハ長調 Op.33-2
- マズルカ第3番 ニ長調 Op.33-3
- マズルカ第4番 ロ短調 Op.33-4
- スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
- 子守歌 変ニ長調 Op.57
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
● Yehuda Prokopowicz ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
🇵🇱 Yehuda Prokopowicz 演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★
ポーランドの若きピアニスト、プロコポヴィチは《マズルカ Op.33》で柔らかく洗練された音を聴かせた。特に第2番ニ長調ではオベレク風の軽やかさが心地よく、歌うような自然さが魅力的だった。後半の《ソナタ第2番》ではやや緊張が見えたものの、誠実で温かい音楽性が終始貫かれていた。
🕔 進藤 実優(23)日本🇯🇵
🎹 使用ピアノ:Steinway
● Miyu Shindo プロフィール
- 生年月日:2002年4月26日生まれ
- 師事歴:Valery Piassetsky、Arie Vardi(現在)
- 所属:Hochschule für Musik, Theater und Medien Hannover(ドイツ)、Central Music School of the Moscow Conservatory(ロシア)
- 受賞歴:シティ・オブ・ビーゴ国際ピアノコンクール優勝、ショパン国際コンクール in Asia 優勝、北京ショパンコンクール入賞、キッシンゲン・ピアノ・オリンピック入賞、ジーナ・バッカウアー・ジュニア国際ピアノコンクール入賞、PTNAピアノコンペティション(東京)入賞、第18回ショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)およびジュネーヴ国際コンクールセミファイナリスト。
- 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:不明(記載なし)
- その他:新日本フィルハーモニー、読売交響楽団、神奈川フィル、名古屋フィル、中央音楽院管弦楽団(北京)などと共演。
● Miyu Shindo 1次予選 プログラム
- 夜想曲 嬰ヘ短調 Op.48-2
- 練習曲 イ短調 Op.25-11「木枯らし」
- ワルツ第1番 変イ長調 Op.34-1
- 幻想曲 ヘ短調 Op.49
● Miyu Shindo 2次予選 プログラム
- 前奏曲第1番 ハ長調 Op.28-1
- 前奏曲第2番 イ短調 Op.28-2
- 前奏曲第3番 ト長調 Op.28-3
- 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
- 前奏曲第5番 ニ長調 Op.28-5
- 前奏曲第6番 ロ短調 Op.28-6
- 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
- 前奏曲第8番 嬰ヘ短調 Op.28-8
- 前奏曲第9番 ホ長調 Op.28-9
- 前奏曲第10番 嬰ハ短調 Op.28-10
- 前奏曲第11番 ロ長調 Op.28-11
- 前奏曲第12番 嬰ト短調 Op.28-12
- 前奏曲第13番 嬰ヘ長調 Op.28-13
- 前奏曲第14番 変ホ短調 Op.28-14
- 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15
- 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
- 前奏曲第16番 変ロ短調 Op.28-16
- 前奏曲第17番 変イ長調 Op.28-17
- 前奏曲第18番 ヘ短調 Op.28-18
- 前奏曲第19番 変ホ長調 Op.28-19
- 前奏曲第20番 ハ短調 Op.28-20
- 前奏曲第21番 変ロ長調 Op.28-21
- 前奏曲第22番 ト短調 Op.28-22
- 前奏曲第23番 ヘ長調 Op.28-23
- 前奏曲第24番 ニ短調 Op.28-24
● Miyu Shindo 3次予選 プログラム
- マズルカ第1番 ロ長調 Op.56-1
- マズルカ第2番 ハ長調 Op.56-2
- マズルカ第3番 ハ短調 Op.56-3
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
● Miyu Shindo ファイナル プログラム
- 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
🇯🇵 Miyu Shindo 演奏レポート
ファイナル進出予想: ★★★★★
この日の最後に登場した進藤実優さんは、まさにフィナーレにふさわしい演奏を聴かせた。《マズルカ Op.56》では自然な呼吸と明瞭なフレーズ感で、ショパンの繊細な民族的ニュアンスを描き出した。続く《ソナタ第2番 Op.35》では、緊張感を持ちながらも深い抒情と構築力を兼ね備えた見事な解釈を示し、《アンダンテ・スピアナートと大ポロネーズ Op.22》では華やかさと品格を両立。力強さよりも音の美と静寂を選ぶその姿勢は、聴く者の心を捉えて離さなかった。
🎬 まとめ|ファイナルへ
2日目は全体として、アジア勢の成熟とポーランド勢の深い文化的感性が見事に交錯した一日だった。ショパンの精神が国境を超えて息づいていることを改めて感じさせる舞台。本日のファイナル進出最有力は進藤実優。続いてTianyao Lyu、Piotr Pawlakが有力候補、Vincent Ongが次点と予想。
― ワルシャワ・フィルハーモニーから、ショパンの鼓動はまだ止まらない。