ショパンコンクール3次予選3日目現地レポート【2025年10月16日】

ワルシャワ・フィルハーモニーホールに朝の光が差し込む頃、いよいよ第3次予選最終日が幕を開けた。
3日間にわたる熱演の締めくくりにふさわしく、この日はそれぞれの個性が鮮明に浮かび上がる一日となった。技巧の極みを見せるピアニスト、詩的世界を織りなす音の語り手、そして静謐さと情熱の狭間で音を紡ぐアーティストたち──多彩な音楽がホールを満たした。

末次 弘季
現地ワルシャワ在住のピアニスト末次弘季です。
ホールで全て鑑賞予定です。
思い出として、鑑賞して感じたことを書きたいと思います。

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■ 10月16日(木) 朝の部

🕔  牛田 智大(25)日本🇯🇵

 

🎹 使用ピアノ:スタインウェイ

● Tomoharu Ushida プロフィール
  • 生年月日:1999年10月16日生まれ
  • 師事歴:Piotr Paleczny(今大会の審査員)(現在)、下田幸二(現在)、Mikhail Pletnev(過去)
  • 所属:ショパン音楽大学(ポーランド)、東京(日本)
  • 受賞歴:浜松国際ピアノアカデミーコンクール第1位(2012)、浜松国際ピアノコンクール第2位(2018)、リーズ国際ピアノコンクール聴衆賞(2024)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:Mikhail Pletnev
  • その他:NHK交響楽団、東京交響楽団、ウィーン室内管弦楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演。ユニバーサルミュージック専属アーティスト。

● Tomoharu Ushida 1次予選 プログラム
  • 夜想曲 ロ長調 Op.62-1
  • 練習曲 ハ長調 Op.10-1
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
● Tomoharu Ushida 2次予選 プログラム
  • ロンド・ア・ラ・マズール ヘ長調 Op.5
  • ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
  • 前奏曲 変ホ長調 Op.28-19
  • 前奏曲 ハ短調 Op.28-20
  • 前奏曲 変ロ長調 Op.28-21
  • 前奏曲 ト短調 Op.28-22
  • 前奏曲 ヘ長調 Op.28-23
  • 前奏曲 ニ短調 Op.28-24
  • ポロネーズ 変イ長調 Op.53
● Tomoharu Ushida 3次予選 プログラム
  • 前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
  • マズルカ ロ長調 Op.56-1
  • マズルカ ハ長調 Op.56-2
  • マズルカ ハ短調 Op.56-3
  • 幻想曲 ヘ短調 Op.49
  • ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Tomoharu Ushida ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

Tomoharu Ushida(日本)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★★
朝一番に登場した牛田智大さんは、研ぎ澄まされた音の粒を自在に操りながら、全体を清潔感のある響きでまとめた。プレリュードでは柔らかな導入から幻想曲へと自然に流れ込み、マズルカではリズムの呼吸が生きていた。やや強めの音量も、その明快な構築性の中では一つのスタイルとして機能していた。彼の音楽は派手さではなく誠実さで聴き手を引き込む。

🕔  ズートン・ワン(26)中国🇨🇳+

 

🎹 使用ピアノ:シゲル・カワイ

● Zitong Wang プロフィール
  • 生年月日:1999年2月3日生まれ
  • 師事歴:Dang Thai Son(ニューイングランド音楽院)
  • 所属:ニューイングランド音楽院(アメリカ)
  • 受賞歴:Rosalyn Tureck Bach(ニューヨーク)第1位(2010)、プリンストン国際ピアノコンクール第1位(2020)、フェロール国際ピアノコンクール(スペイン)第1位(2022)、ブゾーニ国際コンクール第6位(2023)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
  • その他:13歳で北京・紫禁城コンサートホールでソロ・デビュー。フィラデルフィア管、クリーヴランド管、ニュージャージー響、ガリシア響等と共演。出演会場:ヴェライゾン・ホール(ペンシルベニア)、セヴェランス・ホール(クリーヴランド)、スタインウェイ・ホール(ニューヨーク)ほか。室内楽で孟捷(Meng-Chieh Liu)、Roberto Díaz、Chamber Music Northwest と共演。

● Zitong Wang 1次予選 プログラム
  • 夜想曲 嬰ヘ短調 Op.48-2
  • 練習曲 嬰ト短調 Op.25-6
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 幻想曲 ヘ短調 Op.49
● Zitong Wang 2次予選 プログラム
  • 夜想曲 ヘ長調 Op.15-1
  • エコセーズ ニ長調[Op.72-1](WN 13-3)
  • エコセーズ ト長調[Op.72-2](WN 13-1)
  • エコセーズ 変ニ長調[Op.72-3](WN 13-2)
  • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
  • バラード第3番 変イ長調 Op.47
  • プレスト・コン・レッジェレッツァ 変イ長調(WN 44)
  • 前奏曲 変ホ長調 Op.28-19
  • 前奏曲 ハ短調 Op.28-20
  • 前奏曲 変ロ長調 Op.28-21
  • 前奏曲 ト短調 Op.28-22
  • 前奏曲 ヘ長調 Op.28-23
  • 前奏曲 ニ短調 Op.28-24
  • マズルカ ヘ短調[Op.68-4](WN 65)
● Zitong Wang 3次予選 プログラム
  • マズルカ ト長調 Op.50-1
  • マズルカ 変イ長調 Op.50-2
  • マズルカ 嬰ハ短調 Op.50-3
  • ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
  • 歌劇『ルドヴィク』の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.12(エロルド/アレヴィ「Je vends des scapulaires」)
  • ワルツ ホ長調(WN 18)
  • スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
● Zitong Wang ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

Zitong Wang(中国)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★★★
この日最も聴衆の心をつかんだのがZitong Wangだった。マズルカOp.50の選曲は見事で、マズル・オベレク・クヤヴィアクの要素が軽やかに交錯し、民族舞曲の多彩な表情を鮮やかに描き出す。続く《ソナタ第2番》では、鋭いリズム感と構築的な展開が一体となり、そしてフィナーレの《スケルツォ ロ短調 Op.20》では、まさに情熱の嵐。そのリズムの確かさと歌心の両立は、この日のステージでも際立っていた。フィルハーモニアの空間全体を支配するようなエネルギーと透明感が共存し、聴き手の心を一瞬にして奪った。
彼女は私にとっても“どタイプ”のピアニストであり、第1次予選からずっと推している存在だ。

🕔  イーファン・ウー(16)中国🇨🇳

 

🎹 使用ピアノ:スタインウェイ

● Yifan Wu プロフィール
  • 生年月日:2008年11月11日生まれ
  • 師事歴:Ting Zhou(上海音楽学院附属中学)
  • 所属:上海音楽学院附属中学(中国)
  • 受賞歴:ラフマニノフ国際ユースピアノコンクール第1位、グスタフ・マーラー賞ピアノコンクール第1位(2024)、クライバーン国際ジュニアピアノコンクール第2位(2023)、BraVo国際音楽賞受賞(2024)、ブゾーニ国際コンクールファイナリスト(2024)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
  • その他:2019年に上海・スタインウェイホールでリサイタル・デビュー、同年に武漢フィルハーモニー管弦楽団とコンチェルト・デビュー。これまでにダラス交響楽団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー、モスクワ国立アカデミー交響楽団と共演。2024–2026年にラン・ラン国際音楽財団奨学生。

● Yifan Wu 1次予選 プログラム
  • 練習曲 嬰ト短調 Op.25-6
  • 夜想曲 ハ短調 Op.48-1
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
● Yifan Wu 2次予選 プログラム
  • 前奏曲 嬰ヘ長調 Op.28-13
  • 前奏曲 変ホ短調 Op.28-14
  • 前奏曲 変ニ長調 Op.28-15
  • 前奏曲 変ロ短調 Op.28-16
  • 前奏曲 変イ長調 Op.28-17
  • 前奏曲 ヘ短調 Op.28-18
  • 幻想曲 ヘ短調 Op.49
  • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
● Yifan Wu 3次予選 プログラム
  • 子守歌 変ニ長調 Op.57
  • バラード第2番 ヘ長調 Op.38
  • マズルカ ロ長調 Op.56-1
  • マズルカ ハ長調 Op.56-2
  • マズルカ ハ短調 Op.56-3
  • ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Yifan Wu ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

Yifan Wu(中国)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★
ざわざわな中で始まったリーの演奏は、《マズルカ Op.33》から。彼の音は、まるで薄明の霧の中で響くクヤヴィアクの調べのように自然で、穏やかに呼吸していた。ポーランドの評論家クラウディア・バラノフスカも「リリシズムと色彩の豊かさ」と評したように、フレーズの端々に音楽的な詩情が漂う。続く《ソナタ変ロ短調 Op.35》では若干の緊張が感じられたものの、全体としては構成感が明快で、誠実な演奏態度が印象的だった。

■ 10月16日(木) 夜の部

🕔  ウィリアム・ヤン(24)アメリカ🇺🇸

 

🎹 使用ピアノ:スタインウェイ

● William Yang プロフィール
  • 生年月日:2001年5月13日生まれ
  • 師事歴:Robert McDonald(ジュリアード音楽院)(現在)、Alexander Korsantia、Paul Wirth(過去)
  • 所属:ジュリアード音楽院(アメリカ)、カーティス音楽院(アメリカ)
  • 受賞歴:マイアミ・ナショナル・ショパン・コンクール第1位(2025、マズルカ賞およびソナタ賞受賞)、ミッドウエスト国際ピアノコンクール第2位(2014)、クリーヴランド国際ピアノコンクールセミファイナリスト・バッハ賞(2015)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
  • その他:フォートワース交響楽団、サウスイースト・アイオワ交響楽団、ミネソタ管弦楽団と共演。スタインウェイ・レコーディング・プロジェクト受賞者。カーネギーホール・ワイル・リサイタルホールを含むリサイタルツアーに参加。

● William Yang 1次予選 プログラム
  • バラード第2番 ヘ長調 Op.38
  • 夜想曲 ロ長調 Op.62-1
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 練習曲 ロ短調 Op.25-10
● William Yang 2次予選 プログラム
  • 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
  • 夜想曲 ロ長調 Op.32-1
  • 夜想曲 変イ長調 Op.32-2
  • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
  • 前奏曲 変ホ長調 Op.28-19
  • 前奏曲 ハ短調 Op.28-20
  • 前奏曲 変ロ長調 Op.28-21
  • 前奏曲 ト短調 Op.28-22
  • 前奏曲 ヘ長調 Op.28-23
  • 前奏曲 ニ短調 Op.28-24
● William Yang 3次予選 プログラム
  • スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
  • マズルカ 嬰ト短調 Op.33-1
  • マズルカ ハ長調 Op.33-2
  • マズルカ ニ長調 Op.33-3
  • マズルカ ロ短調 Op.33-4
  • ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● William Yang ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.21

William Yang(アメリカ)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★
夕方のセッションでは、ウィリアム・ヤンが独自の音楽観を示した。スケルツォ第4番では白鍵の扱いに独特のニュアンスを加え、繊細な陰影を生む。マズルカOp.33では、どこか夢の中を歩くような柔らかな時間の流れが印象的だった。ステファンスキ氏の評にもある通り、彼の音楽は「静寂の緊張」を湛え、極端に遅いテンポでも張りつめた集中を失わない。ソナタでは深く沈み込むような内省の美が漂い、聴衆の耳を静かに惹きつけた。派手な効果に頼らず、音の質感で勝負する稀有なピアニストである。

🕔  ピオトル・アレクシェヴィチ(25)ポーランド🇵🇱

 

🎹 使用ピアノ:シゲル・カワイ

● Piotr Alexewicz プロフィール
  • 生年月日:2000年4月9日生まれ
  • 師事歴:Paweł Zawadzki(ヴロツワフ)、Konstantin Scherbakov(チューリッヒ)、Nikolai Demidenko(過去)
  • 所属:ヴロツワフ音楽院(ポーランド)、チューリッヒ音楽大学(スイス)
  • 受賞歴:ヒルトン・ヘッド国際ピアノコンクール第2位(2025)、ポーランド国内ショパンコンクール2度優勝、ショパン国際コンクール第18回大会でズビグニェフ・ジェヴェツキ賞受賞、テキサス・ピアノ協奏曲コンクール優勝(2024)、スイス・シェンク・コンクール優勝(全特別賞受賞)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:Nikolai Demidenko
  • その他:ベルリン・フィルハーモニー、サル・コルトー(パリ)、サンパウロ・ホール、NFMヴロツワフ、ワルシャワ・フィル、シンフォニーホール大阪などで演奏。共演指揮者:Howard Shelley、Carlos Miguel Prieto、Andrzej Boreyko、Marek Pijarowski。ショパン研究所より2枚のアルバムをリリース。

● Piotr Alexewicz 1次予選 プログラム
  • 練習曲 ロ短調 Op.25-10
  • 幻想曲 ヘ短調 Op.49
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 夜想曲 ホ長調 Op.62-2
● Piotr Alexewicz 2次予選 プログラム
  • ポロネーズ 変イ長調 Op.53
  • 前奏曲 ハ長調 Op.28-1
  • 前奏曲 イ短調 Op.28-2
  • 前奏曲 ト長調 Op.28-3
  • 前奏曲 ホ短調 Op.28-4
  • 前奏曲 ニ長調 Op.28-5
  • 前奏曲 ロ短調 Op.28-6
  • 前奏曲 イ長調 Op.28-7
  • 前奏曲 嬰ヘ短調 Op.28-8
  • 前奏曲 ホ長調 Op.28-9
  • 前奏曲 嬰ハ短調 Op.28-10
  • 前奏曲 ロ長調 Op.28-11
  • 前奏曲 嬰ト短調 Op.28-12
  • 前奏曲 嬰ヘ長調 Op.28-13
  • 前奏曲 変ホ短調 Op.28-14
  • 前奏曲 変ニ長調 Op.28-15
  • 前奏曲 変ロ短調 Op.28-16
  • 前奏曲 変イ長調 Op.28-17
  • 前奏曲 ヘ短調 Op.28-18
  • 前奏曲 変ホ長調 Op.28-19
  • 前奏曲 ハ短調 Op.28-20
  • 前奏曲 変ロ長調 Op.28-21
  • 前奏曲 ト短調 Op.28-22
  • 前奏曲 ヘ長調 Op.28-23
  • 前奏曲 ニ短調 Op.28-24
● Piotr Alexewicz 3次予選 プログラム
  • ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
  • マズルカ ホ短調 Op.41-1
  • マズルカ ロ長調 Op.41-2
  • マズルカ 変イ長調 Op.41-3
  • マズルカ 嬰ハ短調 Op.41-4
  • 前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
  • アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
● Piotr Alexewicz ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.21

Piotr Alexewicz(ポーランド)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★
ポーランド人ファイナリスト筆頭候補として注目を集めるアレクセーヴィチ。
《プレリュード 嬰ハ短調 Op.45》から《ソナタ第2番》への流れは自然で美しく、端正なピアニズムが際立った。マズルカOp.41では繊細なニュアンスの変化を織り交ぜ、詩的でありながらも芯の強い響きを聴かせる。《アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ》では、端麗なフレージングと安定したリズム感が光り、ホールに心地よい余韻を残した。派手な表現よりも、誠実な構築で聴く人を納得させる演奏だった。

🕔  ケヴィン・チェン(20)カナダ🇨🇦

 

🎹 使用ピアノ:スタインウェイ

● Kevin Chen プロフィール
  • 生年月日:2005年3月7日生まれ
  • 師事歴:Colleen Athparia、Krzysztof Jabłoński(今大会の審査員)、Marilyn Engle、Arie Vardi(現在)
  • 所属:ハノーファー音楽・演劇・メディア大学(ドイツ)
  • 受賞歴:アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(テルアビブ)第1位(2023)、ジュネーヴ国際音楽コンクール第1位(2022)
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
  • その他:カーネギーホール、ロンドン・セントジョンズ・スミス・スクエアなどで演奏。ラ・ロック・ダンテロン、ドゥシュニキ=ズドゥルイ、「ショパンと彼のヨーロッパ」音楽祭、オックスフォード・ピアノ・フェスティバルなどに出演。アボッツフォード青少年管弦楽団との共演を皮切りに、エドモントン響、台北響、カルガリー・フィル、ワルシャワ・フィル、スイス・ロマンド管、ハンガリー国立管などと共演。

● Kevin Chen 1次予選 プログラム
  • 夜想曲 ハ短調 Op.48-1
  • ワルツ 変ホ長調 Op.18
  • 練習曲 嬰ト短調 Op.25-6
  • 幻想曲 ヘ短調 Op.49
● Kevin Chen 2次予選 プログラム
  • 前奏曲 イ長調 Op.28-7
  • 前奏曲 嬰ヘ短調 Op.28-8
  • 前奏曲 ホ長調 Op.28-9
  • 前奏曲 嬰ハ短調 Op.28-10
  • 前奏曲 ロ長調 Op.28-11
  • 前奏曲 嬰ト短調 Op.28-12
  • ポロネーズ 変イ長調 Op.53
  • 練習曲 ハ長調 Op.10-1
  • 練習曲 イ短調 Op.10-2
  • 練習曲 ホ長調 Op.10-3
  • 練習曲 嬰ハ短調 Op.10-4
  • 練習曲 変ト長調 Op.10-5
  • 練習曲 変ホ短調 Op.10-6
  • 練習曲 ハ長調 Op.10-7
  • 練習曲 ヘ長調 Op.10-8
  • 練習曲 ヘ短調 Op.10-9
  • 練習曲 変イ長調 Op.10-10
  • 練習曲 変ホ長調 Op.10-11
  • 練習曲 ハ短調 Op.10-12
● Kevin Chen 3次予選 プログラム
  • マズルカ ホ短調 Op.41-1
  • マズルカ ロ長調 Op.41-2
  • マズルカ 変イ長調 Op.41-3
  • マズルカ 嬰ハ短調 Op.41-4
  • バラード第4番 ヘ短調 Op.52
  • ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Kevin Chen ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

Kevin Chen(カナダ)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★★★
この日、そしておそらく今大会でも最も完璧に近いステージを作り上げたのがケヴィン・チェンだった。マズルカOp.41では流麗なルバートと自然な呼吸が共存し、音の一つ一つが歌っていた。《バラード第4番》では壮大な構成と精緻なディテールの融合が鳥肌ものの高揚を生み出し、続く《ソナタ ロ短調》は圧倒的な完成度で会場を包み込んだ。評論家たちも一様に「競技を支配する存在」「理性と感性の完璧な均衡」と評し、演奏後には万雷の拍手が鳴り止まなかった。

🕔  エリック・ルー(27)アメリカ合衆国🇺🇸

 

🎹 使用ピアノ:Fazioli

● Eric Lu プロフィール
  • 生年月日:1997年12月15日生まれ
  • 師事歴:
  • 所属:Curtis Institute(アメリカ)
  • 受賞歴:リーズ国際ピアノコンクール(2018)第1位
  • 過去受けたマスタークラス等で受けた師事した教授陣:
  • その他:ボストン響、ロンドン響、シカゴ響、東京交響楽団、フィンランド放響、上海響、ロサンゼルス・フィル、オスロ・フィル、ルクセンブルク・フィル、ストックホルム・フィル、ワルシャワ国立フィルなどと共演。ケルン・フィルハーモニー、クイーン・エリザベス・ホール、エルプフィル、コンセルトヘボウ、ウィグモア・ホール、デイヴィス・シンフォニーホール、ワルシャワ・フィルハーモニー、ソウル芸術の殿堂、ボザール(ブリュッセル)等でリサイタル。Warner Classicsよりシューベルト/ショパン/シューマン/ブラームス作品のアルバムをリリース。

● Eric Lu 1次予選 プログラム
  • 夜想曲 嬰ハ短調 Op.27-1
  • ワルツ 変イ長調 Op.42
  • 練習曲 ロ短調 Op.25-10
  • バラード第4番 ヘ短調 Op.52
● Eric Lu 2次予選 プログラム
  • ポロネーズ 嬰ヘ短調 Op.44
  • 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
  • 前奏曲第8番 嬰ヘ短調 Op.28-8
  • 前奏曲第9番 ホ長調 Op.28-9
  • 前奏曲第10番 嬰ハ短調 Op.28-10
  • 前奏曲第11番 ロ長調 Op.28-11
  • 前奏曲第12番 嬰ト短調 Op.28-12
  • ワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2
  • ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
● Eric Lu 3次予選 プログラム
  • 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
  • ポロネーズ 変ロ長調 Op.71-2(WN 17)
  • マズルカ 第1番 ロ長調 Op.56-1
  • マズルカ 第2番 ハ長調 Op.56-2
  • マズルカ 第3番 ハ短調 Op.56-3
  • ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
● Eric Lu ファイナル プログラム
  • 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
  • ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21

Eric Lu(アメリカ)演奏レポート

ファイナル進出予想: ★★★★★
第3次予選の締めくくりは、エリック・ルー。健康上の理由で演奏が延期されていたが、満を持して登場したこの日のステージはまさに「詩と散文の融合」。《舟歌》では柔らかく光を帯びた音が流れ、深い詩情を漂わせた。一方、《ポロネーズ 変ロ長調》では強い意志の刻みが印象的で、堂々とした構築を聴かせた。マズルカでは落ち着きと品格が際立ち、ソナタでは内面的な深さを湛えながらも、音楽が呼吸する瞬間を大切にしていた。その表現は成熟と洗練の両立であり、聴衆にとって一日の締めくくりにふさわしい静謐な余韻を残した。

総括

第3次予選最終日は、静けさと情熱、構築と自由、そして理性と詩の狭間で音楽が息づく一日となった。それぞれのピアニストが持つ色彩が際立ち、誰もが独自のショパン像を描いた。

評論家の言葉を借りるなら――「理性はケヴィン・チェンを支持し、心は王子桐を求める」。その言葉の通り、完璧さと感情のバランスをどう取るかが、この先のファイナルを占う鍵となるだろう。ファイナル進出予想最有力はKevin Chen(カナダ), Zitong Wang(中国)、有力がEric Lu(アメリカ), Piotr Alexewicz(ポーランド)でしょうか。

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